日々の制作と生活を、思いつくままに描く。札幌在住、美術家。西田卓司のブログ。


by takuji0808

仮面ライダーWのハイブリッド性

「仮面ライダーWのハイブリッド性」

さて、まずなんで自分が「ハイブリッド!!」なんてことを言い出したのか、
という話をしておきましょう。

きっかけは「仮面ライダーW」でした。

私は「仮面ライダーW」を温故知新という平成仮面ライダーの伝統にキッチリとハマった、
エンターテイメント性の強いハイブリッドライダーだと考えたました。

そこから、またどんどん考えていくと、アートと結びつく部分を見つけたので
こりゃあ考えな、いかんぜよ! と龍馬風におもったわけです。


平成仮面ライダーの伝統とは何か?という話からしましょう。

必ずあるのがおもちゃ会社・スポンサーからの縛りです。

今回それはUSBメモリ、またはパソコンでしょう。
その他にもネットワーク社会のメタファーがちりばめられています。
これは子供に受けるような現代的なモチーフともいえます。


伝統の一つである平成仮面ライダーからの必殺技やストーリーなどの様式美を
しっかりと継承している印象も強いです。
まあこれは平成仮面ライダーのノウハウがしっかりしているということでしょう。


また昭和仮面ライダーの設定に対するオマージュがそこらじゅうに見えることも
平成仮面ライダーの伝統であることは言っておかなくてはいけません。

仮面ライダーWでいえば、1号2号ライダー=ダブルライダー、V3=アクセル。
翔太郎=石ノ森章太郎サイクロン=1号のバイクの名前であり変身する動力源・・・などなど。


つまりこのような、平成仮面ライダーのミニマリズムと、昭和仮面ライダーの古き良き時代の表面的なトレースが
ハイブリッド化され、洗練されたものが「仮面ライダーW」ではないだろうか、と考えたのです。


全体性を放棄し、断片の過剰なコラボレーションが前作「仮面ライダーディケイド」でした。
仮面ライダーWでは作品の強度を確保するために、そこで失われた(破壊された)全体性=ストーリーの復権や、
設定の整合性を補完する為の、様々な趣向が凝らされています。

そのひとつが主要登場人物のキャラクターとも一致する、時代性のハイブリッド化ではないだろうか、
と思い立ったわけです。

ハイブリッド化(=雑種性、完成度の高い要素の合体)は、
むしろ日本のクリエイティブな想像力の伝統的本流であることは明記しておかなくてはいけません。


主要登場人物がおやっさん=昭和、翔太郎=90年代、フィリップ=平成として
それらの人物がメモリ、ドライバなどというツールを用いてコミュニケーションをとり、一体化するということは、
現代社会(ネット社会)のメタファーであることは間違いないでしょう。

①おやっさん=昭和
(石ノ森イズム、昭和仮面ライダー、古き良きハードボイルト、アナログ、ロストドライバーという名称、スカルライダー)
②翔太郎=90年代
(失われた仮面ライダー年代、ダサさ、昭和の系譜、インターネットの導入、不殺、島宇宙の守護)
③フィリップ=平成
(ハイテク、デジタル、パソコン、万能性、人間的欠陥、ネットでのコミュニケーション、家族の喪失から疑似家族へ)

それら時代性の断片を一体(ハイブリッド)化している構造は、
子供とその親のニーズに応え、同時に作品の強度も補完し、
ヒットしているという素晴らしい戦略!と思ったわけです。

ただし、最終回に向けてストーリーがどのように動くか、
どのような結末になるかによってまた考えたいと思っています。

で次回は話の筋がまた端にズレますが「コラボレーションの限界」について
書きたいとおもいます。
[PR]
by takuji0808 | 2010-06-07 20:23 | つぶやき