日々の制作と生活を、思いつくままに描く。札幌在住、美術家。西田卓司のブログ。


by takuji0808

ゴッホ「一緒に暮らそう」ゴーギャン「えっ」④

<10月某日 アルル>

ゴッホ「……」

ゴーギャン「……」

ゴッホ「……」

ゴーギャン「……」

ゴッホ「……」

ゴーギャン「……」

ゴッホ「……ふう」

ゴーギャン「……」

ゴッホ「……」

ゴーギャン「…ン …よし」ガタッ

ゴッホ「……」

ゴーギャン「…」コポコポ

ゴッホ「……」

ゴーギャン「おい、お茶を入れたけど呑むかい?」

ゴッホ「…ん…ちょっと待ってくれ、ここだけ……ぃよし」

ゴーギャン「ほれ」

ゴッホ「おお ありがとう」

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ゴーギャン「どうだい、調子は?」

ゴッホ「うーん、どうといわれてもね」

ゴーギャン「確かにそうだね」

ゴッホ「君の方こそどうなんだい?」

ゴーギャン「うーん、悪くはないと思うけど」

ゴッホ「…けど?」

ゴーギャン「うん、気持ちは充実していると思うけど、何か物足りなさも感じるんだ」

ゴッホ「そうかい?僕に比べたらよっぽど、じっくりと絵を組み立てているのにかい?」

ゴーギャン「まあ、君とは描くスピードも方法も違うからね 何が問題なのかがわからない」

ゴッホ「うーん、君は真面目すぎるんじゃないかい?」

ゴーギャン「…というのは?」

ゴッホ「なんて言うのかな 君の絵には新しい調和を提示しようとして、逆説的にその調和を崩そうとしているところがあってさ」

ゴーギャン「ふむ」

ゴッホ「方法としては理知的なんだけど、もっと感覚的なことを重視してもいいんじゃないかな」

ゴーギャン「でも、それをいうなら君は感覚的すぎるんじゃないのかい?」

ゴッホ「…うん、まあそうかもしれない」

ゴーギャン「君にとって重要な事が僕にとっては重要じゃなかったりするよ」

ゴッホ「たとえば?」

ゴーギャン「その感覚的なこと、だよ」

ゴッホ「よくわからないな」

ゴーギャン「言葉で共有できる話ではないけど…」

ゴッホ「聞かせてくれ」

  ■

ゴーギャン「信仰の違い、とでも言うだろうか?」

ゴッホ「興味深いね」

ゴーギャン「君の絵の構図には普遍的なものを信じているところがあって、それに君個人に関わる問題が加わっている、といえるだろう」

ゴッホ「ふむ」

ゴーギャン「僕はそこまで信心深くなくてね 普遍性は信じるが、それが神でなくとも良いと思っているよ」

ゴッホ「なるほどね」

ゴーギャン「心底にあるものが違えば、絵から立ち上がってくるものも違うさ」

ゴッホ「そういう話か」

ゴーギャン「ああ」

ゴッホ「ふむ…」

ゴーギャン「あとは、新しさだろうか」

ゴッホ「新しさ?」

ゴーギャン「ああ」

  ■

ゴッホ「僕の絵が古いってことかい?」

ゴーギャン「いや、そういうことではないよ」

ゴーギャン「それを言ったら僕の絵だってまだまださ

      パリで発表をするときに、どう見られるかってことも考えないといけないよ

      ジャポニズムだって、一過性のものかもしれないけどなぜそれが流行っているかを
      考えないといけないだろ?

      スキャンダラスにする必要はないけど、作品がどうやったら認められるかを
      シビアに考えていかなくてはいけないとおもう」

ゴッホ「うん、それはわかるけど…

    それと絵の普遍性は別なんじゃないかい?」

ゴーギャン「いや 一緒だよ」

ゴッホ「そうかなあ」

ゴーギャン「君はロマンチストなんだよ」

ゴッホ「僕は信じることをやるだけさ」

ゴーギャン「僕もそうさ それで食べていけたら最高なんだけどね」

ゴッホ「まったくだ」

ゴーギャン「ま、頑張るだけさ」

ゴッホ「そうだね」

続く
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by takuji0808 | 2010-12-26 08:42 | SS