日々の制作と生活を、思いつくままに描く。札幌在住、美術家。西田卓司のブログ。


by takuji0808

宇宙船というモチーフ

c0211701_17274348.jpg


自分はスターウォーズが大好きなのだが、新三部作公開時(エピソードⅠ)に一番がっかりしたのは、宇宙船の綺麗さだった。

宇宙船のフェチズムは、オイルで薄汚れ、細かい傷がついていたり、配管やコードがむき出しの細部であり、アメ車やユンボの感動に近いものだ。それが当時のCGではリアリティが追いついていない印象を受け、むしろロボットのC-3POのむき出し加減の方が良い印象だった。

  ◆

SFの中での宇宙船は、技術的に実現可能であることの延長線上である飛行機型、ロケット型のものは意外に少なく、初期に多い。しかしもちろん飛行や着陸するための機能もあるので、流線型や細長い形のものが多い。

しかし基本は、幾何学的な形状や、大きなマッス(量感)を組み合わせ、さらにそこにギミックを表面的に上乗せさせていることが多い。これは特撮のために模型を作ることを前提としているからであろう。それがCG全盛期になると流線フォルムや骨抜き構造の軽い形が多くなる気がする。

(個人的には『STAR WARS』『STAR TRECK』『宇宙空母ギャラクティカ』あたりのちょっともっさりした無骨なデザインが好き。)

  ◆

彫刻史との類似点や、映像のリアリティの問題も絡んでくるだろうがそれは割愛。
ただ抽象彫刻が心象を具現化した形なのだとしたら、それが空を飛び宇宙を駆け回るということは、人間の精神が跳躍するための箱として「宇宙船」という想像力があるのではないだろうか、と思う。

「宇宙船」というモチーフはさまざまなメタファーを内包している。それはノアの箱船であり、タイムマシンであり、道具であり、侵略であり、兵器であり、男性器であり、コミュニティである。つまり社会構造の縮図であり、想像力の結晶である。

しかし現実ではコロンビア号の空中分解の事故(2003)などで、宇宙に対するロマンチシズムが失われつつあるのかもしれない。そしてここ最近、宇宙船というモチーフが説得力を失ったということがあるならば、それは「ここではないどこかに行くための箱」はパソコンや携帯電話にとって変わられたということだろう。また、侵略のための兵器、畏怖の対象としての力を失っているということも、何か大きな物語の終焉を象徴しているようでもある。



個人的に一番好きなのは「Slave 1」
c0211701_1723370.jpg

[PR]
by takuji0808 | 2012-09-06 17:31 | つぶやき